日本精神保健・予防学会に参加しました

11月末、久々に学会でポスター発表を行ってきました。千葉大学で行われた日本精神保健・予防学会で、私(院長)にとっては長年親しんだホームグラウンドに当たります。

過去数年はシンポジウムや講演会での口演ばかりでしたので、ポスター発表は随分久し振りでした。まだ「若手」と呼ばれていた頃のポスター発表では、発表内容を理解するのに精一杯だったり、変な質問をされないか気にしたりしてばかりいて(一種の社交不安ですよね)周囲が見えませんでしたが、この年になって発表してみると、聞きに来て下さった方々とライブ感溢れるやり取りができ、これぞ学会発表、という実感を得ることができました。議論するのは楽しいものです。それにしても、聞いて下さったメンバーの豪華さたるや・・・この年になっても冷や汗はかきましたが。

ポスターのテーマは、ARMS(精神症の発症リスク状態)が一般のクリニックの現場にどのくらいの頻度で見られるか、という簡単なもので、Canalを開いてからの1年半、新患名簿と共に記録していたARMS診断の有無を集計しただけのものです。研究施設に集められた事例の研究はあっても、こういった普通の医療現場でのARMSの実態は知られていないものです。そもそも、ARMSの出現率ですらよく分かっていません。研究施設の先生方のご参考になれば、という思いからデータを出させて頂きました。結果としては、ARMSも、そして精神症(統合失調症など)も、クリニックで出会う頻度が驚くほど低い(どちらも1%台)ことが分かりました。一昨年まで大学病院や公立基幹病院で勤務していた自分にとっては予想外の結果でした。医療を行う現場によって対象や治療内容は変わるものですね。

 

もちろん学会は自分の発表だけではありません。小規模の学会でしたが、今年は会場が1列だけで、参加者がひとつの部屋に一堂に会して講演を聴く形となりました。様々な世代・専門性・立場の先生方が集って、皆で勉強をする「研鑽の場」らしい雰囲気が溢れた学会でした。時間をとって皆で勉強する、本来の学会の在り方を思い出しました。(最近の学会は忙しく、会場を飛び回り、ポイントを登録して・・・こういう、腰を落ち着けてじっくり聴いてみよう、という雰囲気にはなりにくかった気がします。)

全国の先生方ともたくさんお話をすることができました。コロナ禍がひと段落し、4年ぶりに開かれた懇親会で、主催者の先生方と行ったバーで、お酒を片手に遅くまで歓談することができました。開業して以来、学術的な活動を続けることが難しく、学会に足を運ぶ機会が減っていくだろうな、と予想していましたが、これからも行きたい、と思わされる2日間でした。

 

余談ですが・・・千葉のお土産はピーナッツ一色なんですね。ピーナッツクイーンとピーナッツキングの歌が流れる売店での買い物も楽しかったです🥜